薄毛の症状は、女性にとっても深刻なものです。育毛治療で改善が難しいときには、自毛植毛という選択肢もあります。自毛植毛は人工の毛を使った増毛に比べて毛髪の定着率が良く、半永久的な効果が得られます。
ただ、この自毛植毛の場合は手術というアプローチで行われますので、いくつか注意が必要な点があります。ここでは手術前の準備やアフターケアなど、自毛植毛にトライする際に知っておきたい情報をご紹介していきます。
自毛植毛後の定着率を上げるため手術前の注意点
自毛植毛の効果は、手術前の生活の仕方によっても変わってくることがあります。自毛植毛のメリットを最大限に得るためには、実のところ手術前の心がけが大切です。アフターケアに気を配るとともに、手術前には注意点をしっかりと押さえておくことがおすすめです。自毛植毛の手術では、メスやパンチなどで皮膚に傷をつけることになります。こういった外科的なアプローチには、若干の出血が付き物ですよね。従って、手術前は、当日の出血を抑えられるような工夫をするのがポイントになります。出血量を増やしてしまうのが、例えばアルコールの影響です。アルコールは血流を良くする作用がありますが、手術前に飲むのは避けるのがベターです。また、血液の流れを良くするビタミンEなどのサプリメントを摂取している方も、手術前に飲んで良いかどうかをドクターに確認しておきましょう。また、タバコは自毛植毛の定着率を悪くしてしまう要因の1つです。手術の前日はもちろん、1週間ほど前になったらアルコールやたばこを控えるなどの方法で、準備を始めておくことをおすすめします。自毛植毛の手術後は、シャンプーができなくなります。感染症を防いで定着率を上げるためにも、1日から2日程度はシャンプーは控えるようにアドバイスされるのが一般的です。しばらく髪を洗えなくなりますので、手術の前にはシャンプーを済ませておきましょう。
自毛植毛後は正しいアフターケアで最大限の植毛効果を
この自毛植毛の定着率は、アフターケアに左右されます。定着率を上げるためには、正しい方法でアフターケアを行うことが非常に大切です。
アフターケアの方法を誤ると、定着率が下がってしまうこともあり得ます。従って、手術後はクリニックの指示を守り自毛植毛の効果を最大限に得られるようにしましょう。
前述したとおり、自毛植毛の当日は、シャンプーをすることができません。
当日はまだ傷口が十分に固まっていないため、水に濡らすと感染症のリスクもあります。従って、手術を受けた日はできるだけ傷口に刺激を与えないように過ごしましょう。
手術翌日の夜あたりから、軽いシャンプーがスタートできるようになります。この場合も頭皮に刺激を与えることは避けて、水圧が弱めのシャワーなどを利用して優しく髪を洗うのが最適な方法といえます。
また傷口の部分は、お湯に濡らすだけにしておきましょう。低刺激のシャンプーなどを薄めて使用することもできますが、傷口の部分につかないように工夫します。
ドライヤーを使用する時も、風が強すぎないように風量を調節するのがベストです。術後1週間ほど経つと傷口も大分治ってきますので、徐々に指を使ったシャンプーができるようになります。
ただ、この時期も頭皮に強い刺激を与えるのはご法度です。マッサージなどはせずに軽く表面を洗うだけにとどめましょう。2週間程度経過すれば、ほぼいつも通りのシャンプーができます。
自毛植毛後のシャンプー以外の日常生活の制限
シャンプー以外でも、気を付けたいポイントは幾つか挙げられます。日常生活の中では、例えば枕の見直しなどが必要になることもあります。
自毛植毛を受けた後は頭皮に負担をかけないことが必要なため、柔らかい枕を使用していると、寝ている間に頭皮がこすれてしまうことがあります。
そのため、手術の後は少し固めの枕を使うということがポイントになります。
また、普段帽子が好きな方も、手術の後、数日間はかぶるのを控えましょう。帽子は頭皮を圧迫することがあります。ムレなども生じやすくなるため、4日程度はかぶるのを避けた方が良いと言われています。
かつらも同じ理由から、手術の後には慎重に利用しましょう。
ムースなどを使った毎日のスタイリングは、1週間程経ったころから開始ができます。ただ、パーマやカラーリングなどの本格的なヘアケアは、手術から1か月程度、間をあけて行うのが基本です。
ウォーキングなどの軽い運動は、1週間後くらいから始められますが、状態を見ながら無理をしないようにしましょう。
余り早いうちに運動を始めてしまうと、塞がっている傷口が開いてしまうことも考えられます。そうなると、制限を要する期間がさらに長引きますので、自毛植毛の後は少し運動量の制限をして、早く治るように生活を整えるのが良い方法となります。
手術の当日や翌日に飲酒を避けることなども重要なポイントです。また、手術後3週間程度は禁煙を心がけると、スムーズな回復が見込めます。
自毛植毛後に髪が定着するまでの期間
自分の毛根を移植することで、新たに毛を育てるのが自毛植毛のアプローチです。
薄毛になっている部分は、毛根の活動そのものが弱くなっているケースが多いです。このような部分に健康な毛根を移植してあげることで、再び毛が生えてくるようになります。
自毛植毛には、皮膚ごと毛根を移植する方法や、毛根単位で移植を行う方法などがあります。いずれの方法も、移植した毛根が定着することで再び毛が育つようになるわけです。
こういった自毛植毛のメカニズムを知っていると、焦らずに自毛植毛後の状態を見守ることができますよ。
完全に移植した組織が定着するまでには、最低でも1週間から2週間程度はかかります。
定着するまでの期間は、その方によってさまざまです。きちんと毛根が定着すれば、毛の生えかわりの周期に従って、毛が再生されてきます。移植した毛根を順調に定着させる上でも、手術後の1週間は大変大切な時期と言えるのです。
この時期に何らかの理由で定着が妨げられると、せっかくの自毛植毛の効果がスムーズに得られなくなります。
定着率を決める時期であるだけに、日常生活の注意点などはしっかりと守る必要があるでしょう。
移植という方法で行われる自毛植毛の場合、健康な毛根が定着して初めて効果が得られます。
アフターケアが大切と言われている背景には、こういった移植のメカニズムが関係しているわけです。
自毛植毛後に起こる初期脱毛(ショックロス)とは
自毛植毛をした後に、時に見られるのがショックロスと呼ばれる初期脱毛の症状です。ショックロスは、一般的に自毛植毛の手術を受けた後、しばらく経ってから生じてきます。
数週間から数か月後と、症状が現れる時期には個人差がありますので、手術を受けた場合は状態の変化に目を配っておきましょう。初期脱毛は、移植した毛根の毛周期が乱れることで起こってきます。
ワンサイクルほど早く毛周期が進んでしまい、毛がいったん抜け落ちてしまうのが初期脱毛が生じる理由です。毛根では、成長期や休止期、退行期といった3つの時期を経て毛の再生が行われています。
移植後、成長期から毛周期のサイクルがスタートすればすぐに毛が生えてきますが、ショックロスの場合は休止期や退行期になっているため、毛が抜けるという症状が出てきます。
このような時期に入った場合でも、毛周期のサイクルが成長期に入れば、再び毛が生えてきますので特に心配はありません。従って、ショックロスと思われるような症状が出ても慌てず受け止めましょう。
ドクターの診察を受けるなどの対策をとれば、その時点の状態を正確に診断してもらうことができます。
余り長期間毛が生えてこないような場合は、自毛植毛が成功したかどうかをクリニックで確認しておいた方が良いです。アフターケアを工夫することで、初期脱毛の症状も早めに改善できる場合があります。
効果がイマイチだった場合は再手術も可能?
万が一、自毛植毛の効果が見られなかった場合には、手術を受けたクリニックで相談をしてみましょう。
このような場合には、再手術という方法も時に可能です。一度自毛植毛を受けたところに再び移植をするときには、大体半年以上は間をあける必要がありますが、多くの場合、再手術は不可能ではありません。
ただ、一度移植をしているため、状態をよくチェックして手術の方向を決める必要が出てくるでしょう。
自毛植毛の範囲を広げたい、といった場合は、3か月程度経てば次の手術ができるケースが少なくないです。広い範囲に自毛植毛を希望している場合、一度に手術をするのは負担になります。
そのため、ドクターの方針によっては何回かに分けて計画的に自毛植毛を進めるケースもあります。どの程度の期間を置いて再手術を受けるべきかは、その方の状態によってケースバイケースです。
頭皮や薄毛の状態などをドクターが診察した上で、ベストな方法を提案するのがクリニックの植毛治療の進め方です。自毛植毛を行うクリニックは増えていますので、治療効果に満足できないときにはクリニックを変えるということも、もちろん可能です。
植毛後に生えてきた毛の質などもチェックしながら、今後の方針を決めていくと良いでしょう。周りの毛と極端に毛質が違うときには、再手術という選択もあり得ます。
信頼できるクリニックを見つけて、自毛植毛を成功させていきましょう。
自毛植毛のアフターケアについてのまとめ
ここで取り上げたようなポイントを押さえておくと、自毛植毛を受ける際にきっと役立ちます。
アフターケアは、ちょっとした心がけで行うことができますので、これから自毛植毛にトライしてみたい、と考えている方はぜひご紹介した情報を参考にしてください。
手術という方法でアプローチをしていく自毛植毛は、治療を受けるに当たっても少し勇気が必要になりますよね。しかしながら、得られる効果は他の育毛方法に比べて遥かに高いというメリットがあります。
ドクターのアドバイスを守っていれば、手術後のトラブルも非常に少なくなります。
アフターケアを徹底することが、リスクを抑えて自毛植毛を成功させるための1つの鍵となってくるでしょう。
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