近年では、薄毛対策として植毛治療を選択する女性も増えてきました。女性にとって髪の悩みはとてもデリケートな問題で、植毛をはじめとする薄毛治療は、今後の人生に大きく関わるターニングポイントとなります。
そこで今回は、女性の植毛はどのようなものでどんな施術方法があるのか、費用や植毛の期間はどの程度かかるのか、さらに最も気になる手術後の傷跡についても詳しく説明していきます。毛量が減ってしまう原因やどのように薄毛が進行しているのかを知り、目指したいヘアスタイルをしっかりイメージすることで、自分にとって最適な治療方法を考えていきましょう。
女性の薄毛のメカニズムとは
女性が薄毛の対策を行うにあたっては、まず根本的なメカニズムを知ることが大切です。
薄毛の主な原因は、毛髪の成長過程の周期、いわゆるヘアサイクルの乱れだと言われています。毛根から生えてきた毛髪はゆっくりと成長し、その後抜け落ちて、また新しい毛髪が成長するといったサイクルを繰り返しています。通常ヘアサイクルは5年ほどかけて繰り返されるものですが、この周期が乱れると、数ヶ月程度で髪の成長がストップしてしまいます。本来であれば数年かけて成長するところを、数カ月などの短い期間に短縮されることで、毛髪自体が細く弱々しいものとなり、薄毛の原因となっていくのです。
女性のヘアサイクルの乱れで比較的多い要因としてあげられるのは、過度のダイエットです。無理なダイエットを行うことでホルモンバランスの均衡が崩れると、自律神経の乱れやストレスの蓄積などを引き起こします。これがヘアサイクルを乱す要因となってしまうのです。その他にも、シャンプーやリンスの誤った使用などによりヘアサイクルの乱れが誘発され、薄毛に繋がってしまうことも少なくありません。
また、ダイエットや間違えたヘアケア以外にも、男性型薄毛症が要因でヘアサイクルが乱れてしまうこともあります。これは、加齢などによって女性ホルモンのバランスが乱れ、男性ホルモンが優位になることで起こると言われています。男性型薄毛症といっても、女性の場合は女性ホルモンが一定量分泌されているため、男性のような極端な薄毛になることはほぼありません。
しかし、髪のボリュームが少なくなることでヘアスタイルが決まりづらくなったり、自分に自信が持てなくなってしまったりする方も多くいます。髪の悩みは女性にとって深刻な問題です。薄毛が気になり始めたら、日々のヘアケアに加え、ぜひ植毛クリニックでの相談も検討してみてください。専門家のアドバイスを受けることで、薄毛対策の道しるべとなるはずです。
女性が知っておきたい自毛植毛の基礎知識
植毛には人工毛植毛と自毛植毛の2種類がありますが、人工毛植毛には拒絶反応などの大きなリスクが伴うことから、自分の毛根を使う「自毛植毛」が主流となっています。ここでは、女性の自毛植毛についての基礎知識や、男性の自毛植毛との違いを見ていきましょう。
自毛植毛とは
自毛植毛には大きく分けて2つの方法があり、それぞれ「FUT法」「FUE法」と呼ばれています。どちらも外科手術に分類される植毛方法で、クリニック以外では受けることができません。
「FUT法」と呼ばれる自毛植毛では、他の毛根をメスにて採取し、薄毛になっている部位に移植します。比較的薄毛になりにくい後頭部や側頭部などから「グラフト」と呼ばれる毛根を皮膚ごと採取し、毛根を顕微鏡で株分けしたうえで植毛していきます。一度に採取する範囲が広いため、比較的短い時間で実施できるというメリットがありますが、皮膚ごと採取するため、傷跡が残りやすいというデメリットもあります。
一方「FUE法」では、皮膚ごとドナーを採取するのではなく、株単位で毛根を採取します。FUT法と違いメスを使用しないため、人体に負担が少ないというのが特徴です。比較的薄毛の範囲が少ない方に多く利用される方法で、最も大きなメリットは傷跡が残りにくいという点にあります。痛みが少なく仕上がりも自然というのも大きな魅力です。
ただし高度な技術が必要になることから、費用はFUT法よりも高額になります。株単位で丁寧に移植していくため、治療にかかる時間も長くなる傾向にあります。
男性と女性の植毛の違い
男性の薄毛では、ほとんどが男性ホルモンの影響による男性型薄毛症で、前頭部及び頭頂部などに症状が現れます。ごっそり抜け落ちてしまうケースも多く、範囲も広いため、植毛の施術には多くの時間と費用が掛かってしまいがちです。
それに比べて女性の薄毛では、一部の毛がごっそりと抜け落ちるのではなく、全体的に毛髪が弱々しくなるようなケースがほとんどです。分け目や頭頂部などの目立つ箇所のみの施術で済むため、男性の植毛よりも費用・時間ともに抑えられることが多いようです。また、女性の場合は自身の髪が長いため、手術の跡を隠しやすく、周囲に気づかれずに自然なヘアスタイルを目指すことができます。
女性におすすめの自毛植毛とは
前項では2つの自毛植毛方法をご紹介しましたが、女性の薄毛の場合には「FUE法」での治療をおすすめします。
FUE法は、メスを使用することなく自毛植毛ができる上、傷跡も残りにくい自毛植毛法です。身体への負担も抑えられ、植毛部位がさほど広くない女性には最適な方法だといえます。FUT法に比べて費用が高額になってしまう、治療に時間がかかるなど、少なからずデメリットはありますが、メスを入れることもなく傷後を縫い合わせることもないというのは、やはり大きなポイントです。
植毛の範囲や薄毛の状態、予算などによっては、FUT法の方が適している場合もあるため、自らの薄毛がどのような状態であるかを把握するためにも、一度クリニックでのカウンセリングを受けてみることをおすすめします。クリニックに行くことは少し勇気がいるかもしれませんが、専門家に日常のヘアケアや薄毛の悩みを相談できる貴重な機会です。無料でカウンセリングを行っているクリニックも多いので、一度足を運び、自分の薄毛にあった治療法を医師と一緒に考えてみてもいいのではないでしょうか。
女性の植毛の費用相場と期間について
植毛治療を検討するうえで、気になるのが費用と治療に必要な期間です。クリニックや施術方法によっても異なりますが、大まかな費用や期間をご紹介します。
自毛植毛の費用相場はどのくらい?
女性の自毛植毛の費用相場はどの程度のものなのでしょうか。クリニックによってかなりのばらつきがありますが、植毛費用は一本につき300円~500円程度のところが多いようです。例えば、一本350円のクリニックで3,000本の植毛を施術した場合は、植毛費用として105万円の料金が必要になります。
さらにこれとは別に、「基本治療費」とよばれる費用が必要になります。クリニックによっては不要なところもありますが、基本治療費はおよそ0~20万ほどかかります。その他にも初診料や検査料金、その他ヘアケアにかかる費用が必要になる場合があり、総額の費用はクリニックにより数十万円の差がでてきます。
植毛方法によっても費用は変わってきますので、まずは信頼できるクリニックを探し、カウンセリングを受けてみましょう。医師と相談しながら自分に合った植毛方法を見つけ、納得したうえで施術を受けるようにしてください。
自毛植毛治療にかかる期間
自毛植毛は手術をして終わりというわけではなく、植え付けた毛根から新しい髪が生え、成長するまでには時間がかかります。女性の薄毛治療の場合、自毛植毛の手術自体は平均して数時間程度で終わることが多いようです。
その後、移植された毛根が定着し、産毛が生えてくるまでにはおよそ2~3か月かかります。そこから半年ほどで黒く生き生きとした毛髪へと変わってゆき、一年後には毛根もしっかりと定着して毛髪が生えそろいます。患者の喫煙や飲酒習慣などによっては時間を要することもあり、個人差が大きくでますが、平均的な期間は施術後1年間を目安に考えると良いでしょう。
女性植毛治療の流れ
ここからは、女性の植毛治療の流れについてご説明していきます。
自毛植毛治療を受けるにあたって最も重要なのが、クリニック選びです。仕上がりは医師の技術力や使用する機材によって大きく変わってくるため、豊富な経験と高い技術を持っているクリニックを選ぶことが大切です。
気になるクリニックを見つけたら、実際に訪れてカウンセリングを受けることになります。ほとんどのクリニックではカウンセリングが予約制なので、あらかじめWebや電話で予約をしてから足を運ぶようにしましょう。カウンセリング費用がかかるクリニックもあるので、予約時に必ず確認するようにしてください。
カウンセリングでは、まず薄毛の部位と進行度合いを検査し、その後ドナーとなる部位(毛根を採取する部位)の診断を行います。診断を終えたら、どのような施術で植毛を行うのか、希望するヘアスタイル、植毛する毛髪はどの程度の量にするのかなどを医師と共に決めていきます。
カウンセリングを受けたからといって、必ず手術を受けなければならないというわけではありません。カウンセリングの段階で医師やスタッフを信頼できない、またはクリニック自体に不安を感じた場合などは断ることもできます。「まずは相談だけ」というくらいの気持ちで、気軽にカウンセリングを受けてみましょう。また、一度のカウンセリングで決断できない場合には、納得するまで何度も相談することが大切です。
安心して任せられるクリニックがみつかったら、手術の日程や、大まかな手術の工程などを打ち合わせし、手術当日まで待機することになります。手術の際に出血を少なくするためにも、前日にはシャンプーを入念に行い清潔にしておく、アルコールを控える、また数週間前より服用してはいけない薬を飲まないなどの注意事項を厳守するようにしてください。
手術当日は、施術の後にヘアケア等についてのカウンセリングを受け、そのまま帰宅することができます。包帯を巻いたまま帰ることになるので、隠せるようにニット帽などを用意しておくといいでしょう。クリニックによっては、ニット帽を用意しておいてくれるところもあります。ただ、植毛したばかりの傷口は非常にデリケートなので、手術当日の洗髪は厳禁です。ガーゼと包帯でしっかり保護しましょう。
手術の翌日以降は、毛根をより早く定着させるために日々のヘアケアを入念に行います。施術方法にもよりますが、FUE法の自毛植毛であれば、翌日には包帯を外せる場合が多いようです。術後は頭皮も毛根も弱っていますので、優しく労わりながら生活するようにしてください。数週間もたてば、髪が伸びて生えそろい、傷跡も目立たなくなってきます。
植毛手術での傷跡について
植毛手術後、女性にとって特に気になるのが傷跡です。せっかく自然なヘアスタイルを手に入れたのに、手術後の傷が原因で周りに気づかれてしまうような事態は避けたいものです。
FUT法ではメスを使ってドナーを採取するため、比較的傷跡が大きくなります。また、メスを使わないFUE法であっても、手術の直後には小さな傷跡が残ります。ただ女性の場合には髪を伸ばせば自然に隠すことができますし、広範囲の施術でない限り、そこまで目立つような傷が残ることはありません。傷跡の程度は手術方法によっても違ってきますので、カウンセリングの際に医師としっかり打ち合わせを行うことが大切です。
なお、自毛植毛ではたいていの場合、手術する際に毛髪を剃る必要があります。長髪の女性であれば隠すことは容易にできますが、ショートカットの方は対策が必要になります。手術に向けて髪を伸ばしたり、ウィッグを用意したりなどして準備しておきましょう。手術後にウィッグや美容院を紹介してくれるクリニックもありますので、不安な場合は手術前に遠慮することなく質問してみてください。植毛をしたことで通っていた美容院に行きづらいという方も、クリニックで美容室を紹介してもらうといいでしょう。
不安要素を少しでも解消することで、安心して治療に専念できます。
クリニックによっては、傷を隠すためのケアに力を入れているところも増えていますので、できる限りアフターケアの充実したクリニックを選ぶことをおすすめします。また近年では、毛髪を剃らずに自毛植毛を行う技術もありますので、傷跡が気になるという方は、このような施術を受けられるクリニックを選ぶようにしましょう。
女性の植毛事情についてのまとめ
女性にとって、薄毛の悩みは非常にデリケートな問題です。植毛を受ける場合には、薄毛になってしまうメカニズムを理解したうえで、自らの薄毛の状態や進行度合いを把握することが大切です。その上で自毛植毛がどのようなものか、どういった種類の施術方法があるのかを知っておく必要があります。
実際にクリニックの選定を行う時には、実績があり信頼できるクリニックを見つけることが最重要事項になります。かかる費用や期間はクリニックによって大きな違いがあり、数多く存在する植毛クリニックの中から自分に合ったところを探すのは大変なことです。しかし今後の生活にも大きな影響を与えることなので、時間を掛けてしっかり選定するようにしてください。
クリニックを決定したら、医師ともじっくり相談して、納得したうえで手術に臨みましょう。女性の場合は特に、手術後の傷跡がどの程度なのかも事前に確認しておくことをおすすめします。アフターケアの充実したクリニックであれば、手術後のケアや注意点などについても丁寧に説明してくれるため、術後の不安を軽減することができます。クリニック選びの際にはアフターケアについても確認するようにしましょう。
コメント